個人投資家がエマージング諸国のなかでもブラジルに熱い視線を注ぎ始めている。原油や商品価格が高騰するなかで、これまで人気の高かったインドや中国は株価が大きく下落した。
代わって金利の高いブラジルに投資する個人向け金融商品が各社から相次いで投入され、7─8月だけで設定本数は9本にのぼる。設定から3日目に販売停止になるブラジル債券投信が出るなど、ブラジル関連ファンドから目が離せない状況が続きそうだ。
ブラジルが注目される背景には、石油や鉄鉱石などの豊富な天然資源や、バイオ・エタノールで注目されるとうもろこし、世界の食糧倉庫として重要な役割を担う農作物などがある。加えて、国自体の信用力が向上していることも大きい。対外債務の削減や外貨準備高の拡大等を理由に今年4月に投資適格に格上げされたほか、政策金利は13%と新興諸国平均金利(一ケタ台後半)と比較して高い水準にある。外資系リサーチによると、
07年にGDPで10位のブラジルは、2040年には日本を抜き、中国・アメリカ・インドに次いで4位の経済大国になるとの予想もある。ロイター調べでは、
国内で販売されているブラジルおよびラテンアメリカの株式に投資するファンドは6月末時点で計10本。純資産残高は約5880億円で、月次ベースの過去最高残高は5月末の9本、6032億円だった。
一方、7月に入りブラジルが投資先のファンドの設定が相次いでいる。8日にユービーエス・グローバル・アセット・マネジメントが
「UBSブラジル・インデックス・ファンド」62006672JPを、16日には野村アセットマネジメントが
「NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信」62006675JP1325.T、17日に再びUBSグローバル・アセットが
「UBSブラジル・レアル債券投信(毎月分配型)/(年2回決算型)」を設定している。31日にはHSBC投信が「HSBCブラジル株式ファンド(3カ月決算型)」を設定予定だ。また8月には8日に野村アセットが
「りそなブラジル株式ファンド(愛称:リオ)」を、15日にビー・エヌ・ピー・パリバ アセットマネジメントが
「BNPパリバ・ブラジル株式オープン」、大和証券投資信託委託は21日に「ダイワ・ブラジル債券ファンド2008─08」を、27日に
「ダイワ・ラテンアメリカ株式ファンド」の設定を予定している。ざっと数えただけでも7─8月の2カ月間で9本のファンドが立ち上がる。
17日に
UBSグローバル・アセットが設定した「UBSブラジル・レアル債券投信(毎月分配型)62006680JP/同(年2回決算型)62006681JP」2本(販売は野村証券)は、募集段階で約1000億円を集めた。設定日以降も個人投資家からの購入申込みが相次ぎ、大量の資金流入を理由に、野村証券は設定から3日目で販売を停止している。2本のファンドの純資産残高は23日現在2646億8500万円。8日に36億3279万円で設定した「UBSブラジル・インデックス・ファンド」62006672JPもブラジル人気に乗じてか、23日現在純資産は113億5200万円に増加している。
ロイターの集計では
、国内投資家が保有するBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国に投資するファンドの6月末残高は3兆6389億6359万円。過去の最高残高は07年末の4兆9682億8709万円だ。
ロイターは、BRICs市場に投資するファンドを、1)インド株ファンド、2)中国株ファンド、3)ロシア・東欧ファンド、4)BRICs4カ国中心に投資するBRICsファンド、5)ブラジル/ラテンアメリカファンド──の5つのカテゴリーに分けて独自に集計しており、
6月末残高の内訳は1)インド株Fが1兆0496億円、2)中国株F8846億円、3)ロシア・東欧F4754億円、4)BRICsファンド6411億円、5)ブラジル/ラテンアメリカFが5880億円となっている。7月23日現在3000億円近い資金がブラジルファンドに流入している現在、国内個人投資家のBRICs諸国をはじめとするエマージング諸国への投資は、これまでのインドや中国主体から一層広がる可能性が出てきた。
[東京 24日 ロイター]
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財務省が24日発表した
6月貿易黒字額は1386億円となり、市場予想の5030億円を大幅に下回った。さらに
6月輸出は前年比1.7%減と2003年11月以来、55カ月ぶりのマイナスに転じた。
これまで落ち込みが目立っていた対米輸出に加え、欧州向けも大幅なマイナスになった上に、アジア向け輸出の伸びが急減速したためだ。民間エコノミストの間では、欧米など先進地域への輸出減少分は、中国・インドなど新興国・資源国の輸出増加で補完されるといういわゆる
「デカップリング論」が現実味を失い、世界景気が失速するリスクが高まっているとの見方が台頭。輸出の減速傾向がこの先も明確になれば、鉱工業生産が下振れし、景気後退懸念も一段と強まりそうだ。
<欧州向け輸出も大幅減>
今回の数字について、エコノミストからは「かなりショッキングな内容」(バークレイズ・キャピタル証券、チーフエコノミストの森田京平氏)との評価が少なくない。
輸出については、実額だけでなく、
数量も前年比マイナス1.4%と16カ月ぶりに減少した。地域別輸出をみても、
米国向けが前年比15.4%減と03年11月以来、
欧州連合(EU)向けは同11.2%減と02年3月以来の大幅な減少となった。
アジア向けだけは1.5%増と、かろうじてプラスを維持したものの、05年5月(1.5%増)以来の小幅な伸びにとどまった。
もっとも6月の輸出減少が一時的なものになる可能性も否定できない。輸出の押し下げに寄与したのは、船舶、電算機類の部分品だが、特に、船舶は値が張る上に、輸出ひん度にもばらつきがあることが知られている。財務省では、輸出減少が一時的なものか否かについて「特定は困難」とした。
<貿易収支、今年中に赤字転落の声>
複数のエコノミストからは「いわゆるデカップリング論がかなり危うくなってきた」(森田氏)との声が出ている。実際、欧米向けだけでなく、
新興国向け輸出も減速が目立っている。インド向け輸出は1─6月期が前年比34.3%増だったが、6月は19.3%増に減速した。豪州向けも24.1%増から19.6%増、ブラジル向けも29.9%増から20.7%増、ロシア向けも49.0%増から39.4%増へと、軒並み伸びが鈍化している。エコノミストが特に注目するのが、
アジア向け輸出の減速だ。住友商事総合研究所・チーフエコノミストである奥田壮一氏は「
日本にとっては、全体の5割弱と高いウエートを占めるアジア向け輸出が伸び悩むと、全体への影響は大きい」と懸念を隠さない。
アジア向けの減速について奥田氏は「米国経済の減速が波及しているというよりは、インフレ懸念を背景にアジアの国々が経済を犠牲にしてもインフレを抑制するべく金融引き締めなどのマクロコントロールに動いた影響が出始めた」と分析している。
今後の輸出動向について「下期に向けてアジア向け輸出が減少に転じることは間違いなく、全世界的に輸出が減少することは時間の問題」(奥田氏)など慎重な声が多い。
BNPパリバ証券・エコノミスト、丸山義正氏も「外需のけん引力が相当落ちている」とした上で「今年中にも貿易赤字になることは否定できない」と予想した。もっとも日本の内需が低迷し、輸入数量が減速するとみられるため、貿易赤字が定着するには至らないという。
<強まる生産・景気の下押し圧力>
輸出減少が明確になれば、日本経済への悪影響は避けられない
「今回の日本の景気回復局面は、過去に比べて外需・輸出への依存度が極めて高いことが特徴」。(シティバンク銀行・為替市場調査シニアマーケットアナリスト、城田修司氏)であるためだ。今回の景気拡大が始まる前の
2000年度では、輸出の実質国内総生産(GDP)に対するシェアは10.9%だったが、07年度には15.9%と大きく拡大している。
城田氏は「輸出の減少は、日本の景気腰折れリスクを高める可能性がある」と警告した。森田氏も「輸出数量が鉱工業生産に1四半期程度先行することを勘案すれば、年内の鉱工業生産は、回復、停滞、後退のうち、停滞になりそう」と予想した。鉱工業生産は1─3月期に続き、4─6月期も前期比で小幅マイナスに転じるとの見方が多いが、明確な改善は当面期待できそうにない。
森田氏は「日銀、内閣府の景気シナリオがもう一段の下方修正を迫られる局面が年内にもある」と予想した。足元での輸出低迷が、いずれのシナリオにもまだ十分織り込まれていないためという。
内閣府は22日、
08年度の経済動向試算を発表して、08年度のGDP見通しを下方修正したが、
08年度の外需寄与度については、プラス0.4%からプラス0.5%と上方修正するなど、外需依存が一段と強まるとのシナリオを明確にしている。
[東京 24日 ロイター]
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